坂総合病院 医学生・研修医のひろば
対談 VOL3 指導医 渡部 潔×研修医 萩原 達也・安田 のぞみ

渡部:坂総合病院で初期研修に取り組んでいるお二人に、当院での研修の感想など、率直なご意見をお聞かせ願えればと考えています。はじめに、初期研修先として当院を選んだ動機やきっかけからお話しいただけますか。
安田:病院実習で当院を訪れた時、研修医の皆さんがとても楽しそうに研修されている姿が印象的でした。また、医師である父がここで研修を行ったというのも大きな理由の一つです。
萩原:東北大学で6年間を過ごしたこともあり、東北、できれば宮城県で初期研修を行いたいと考えていました。いくつかの病院を検討した結果、当院の研修医の方々がとても優秀で、かつ熱心に研修に取り組んでおられたこと、さらには、上級医の皆さんも含め、私たちに対して親身に優しく接してくださる、そんな雰囲気のよさか決め手となりました。
渡部:当院の魅力の一つとして「雰囲気のよさ」を挙げる研修医の方が多いのですが、お二人も同じ感想を持ったわけですね。
萩原:中規模の病院だからかもしれませんが、医師やその他の病院スタッフの皆さんとの距離が近く、いつでも気軽に相談できる雰囲気の中で、充実した研修が送れそうだな、という印象を持ちました。
渡部:お二人とも、現在はローテート研修のプログラムに沿って、内科系や外科系の各診療科で研修を進めているわけですが、この1年を振り返りどんな感想をお持ちですか。
安田:あっという間の1年で、とても充実していました。主治医として患者さんを担当させていただき、入院から退院まで自分の患者さんを通しで診ることができたことはとても勉強になりました。
萩原:当院のローテート研修では、診療科ごとに3か月ずつ研修を行います。2か月単位という病院が多いことを考えれば、それぞれの科でじっくりと研修を行うことができました。責任を持って患者さんを受け持たせていただくことで初めて見えてくることも多くあったと思います。 渡部:ローテート研修という方式は今ではどこの病院でも当たり前のものになっていますが、当院がその方式を導入した約45年程前には非常に先駆的な取り組みでした。内科的な素養を持ち地域医療に貢献できる医師を育てることを目的としたローテート研修の長い歴史を持つ当院には、研修医の皆さんを飽きさせない研修メニューの提供や研修医の皆さんへの適度な負荷のかけ方という点で、一日の長があると自負しています。また、私たち指導医の側の体制がしっかりし過ぎると、研修医の先生方が手を出しにくいという面も生まれます。当院の場合はそこが丁度いい塩梅といいますか、研修医の皆さんが非常に鍛えられる環境にあるのではないでしょうか。
安田:確かに、指導医の皆さんのバックアップは心強かったですね。それがあったからこそ、主治医としてしっかり患者さんに向き合うことができたのだと思います。
萩原:常に7〜8人、多い時には10人を超える患者さんを主治医として受け持ってきました。その意味では、自ら考え、自ら動き、必要なのは何かを即座に判断することが求められます。これは上級医の先生に聞いてから進めよう、これは自分で調べられる、といった判断力もこの1年でかなり身に付いたと感じています。

萩原 達也
安田 のぞみ
指導医 渡部 潔

渡部:この1年の研修を振り返り、どんなところに医師としての成長を感じていますか。
萩原:学生時代よりも自ら積極的に勉強するようになったことでしょうか。医師として働き始めて、勉強が楽しくなり、調べることが苦ではなくなりました。これは大きな変化というか、成長した点だと思います。
安田:初期研修がスタートした当初は不安なことばかりで 、それが患者さんと話す際にも言葉に出てしまっていました。1年近くを経た今、完ぺきとは言えないまでも、主治医として患者さんにしっかり向き合えるようになってきたかな、と感じています。
渡部:お二人の場合、同期の初期研修医が11名と多いのですが、症例数などの点で不満はありませんか。
安田:症例数を増やすため患者さんを取り合うといったことはありません。それよりも、同期のみんなに支えられている心強さの方が大きいです。
萩原:上級医の皆さんも研修医に積極的に患者さんをまわしてくださいますし、十分な症例数を確保できていると思いますね。
渡部:研修医の皆さんの成長する姿を目にすることは、私たち指導医にとって大きな喜びでもあり楽しみでもあります。将来進みたい道はそれぞれあったとしても、ローテート研修をする以上は、それぞれの科の楽しみが分かるように積極的に取り組んでほしいと思います。充実した研修医生活が送れるように、指導医間でも情報を共有しつつ、皆さんのフォローをしていきたいと思います。皆さんのさらなる成長と今後の活躍を期待しています。

PROFILE渡部 潔 わたなべ きよし
1994年東北大学医学部卒業、宮城厚生協会入職。1999年より国立循環器病センター、大阪市立医科大学にて出向研修の後、坂総合病院循環器科に帰任。現在、同院循環器科科長及び医師研修委員長・研修プログラム責任者も兼任。
専門分野/循環器疾患全般、不整脈、心エコー
専門医資格/循環器専門医、認定内科医、プライマリケア連合学会認定医
他資格/PHP研究所認定上級ビジネスコーチ
PROFILE萩原 達也 はぎはら たつや
2015年東北大学医学部卒業。東京都出身。将来の方向はまだ決めていないが、2年目の研修では麻酔科を選択し、全身管理を学ぼうと考えている。
PROFILE安田 のぞみ やすだ のぞみ
2015年近畿大学医学部卒業。宮城県出身。将来の目標は小児科医。研修2年目には、坂総合病院が力を入れているリハビリテーション科での研修を予定。