坂総合病院 医学生・研修医のひろば
対談 VOL9 指導医・院長 冨山 陽介 × 研修医 上原新平・塙みなみ

坂総合病院で初期研修を35年前に受けた院長と
現在ローテート研修中の2人が
今感じていることを率直に語り合いました。

出身大学も年齢も関係なく
みんなで学び合える

院長:お二人とは1年目の秋に、お昼を一緒に食べて以来だったかな?
塙:はい。あの時、最初は緊張していたんですけど、院長先生がすごく気さくに話してくださったので、くだけていってしまって…。
院長:塙先生は全然緊張していなかった(笑)。
上原:僕もそれほど緊張せずに(笑)。
塙:よかった。私だけじゃなくて。
院長:その後、研修の印象はどう?
上原:内科の各診療科を3カ月ずつしっかり学べるので、慣れて、理解して、行動できる、という流れができました。
院長:慣れた後は、ぐんぐん成長していくからね。
塙:研修医同士や指導医の先生とも自然体でやりとりできて、初めて見学に来たときに感じた良い雰囲気のままです。学閥も年齢も関係なく、学び合えるのがいいなと感じています。
院長:それは、僕ら指導医の大半が坂病院で初期研修を受けていて、横のつながりがあるからね。その中に同じ世代の研修医の仲間もいて、分け隔てなくみんな自由に話ができるしね。出身学校にかかわらず、それぞれの個性に合わせた対応がかなりできているのを、感じ取ってもらえているんじゃないかな。

指導医も同じ研修をしてきたから
すぐに状況を察知して共感

上原:すごく経験になるのは、主治医制です。ファーストコールが自分に来るので、自分なりに考えて「こうした方がいいですかね?」と指導医に確認しながら学べています。
院長:研修医だからといって軽症の方だけを診るわけでもないから。最初に呼ばれて何をやるべきかと考えるプロセスが、医師としての成長にとても重要だと考えて、30年以上前から主治医制を採っているんだよね。
塙:特に印象に残っているのは、外来で受け持った患者さんの入院からお看取りまで関わらせていただいたことです。その患者さんを通して、積極的に治療をする時期、控える時期、ご家族に最期の話をする時期、いろいろなフェーズを経験することができました。
院長:それは、なかなかできない経験だったね。
塙:もちろん指導医の先生が付いて、研修医のできる範囲を越えているところは、ちゃんとサポートしていただいてですが。指導医の先生ご自身がここで研修されているので、「今これがツライよね」と分かってアドバイスくださっていました。
院長:そこが評価されているのは、うれしいですね。

指導医・院長 冨山陽介

「自分に合った診療科」を
見つけるのが目標

上原:将来は、患者さんからも職場の人からも頼られる医師にと思いますが、まだ診療科は決まっていないんです。
塙:一つ上の先輩には志望科を変えた人もいて、同期でも最初から診療科が決まっている人は、あまりいない気がします。
院長:志望していた診療科に適性があるのか、やりがいを感じるかは、実際に医師として経験してみないと分からないところがあるからね。研修する中で、もっと面白い診療科と出合うかもしれない。
塙:将来が明確に決まっていなくても許される3年目のプランがあるのも安心できるところです。
院長:例えば40歳前後の自立した医師になったときに、最初の1、2年の出遅れが臨床医としての差につながるかというと全くない。むしろ多様な経験をして自分に合った道を選ぶほうが、より意味があるだろうと思うんだよね。僕らもそうやって決めてきた歴史があるから。そんなことも、また昼食を取りながら話しましょう。

PROFILE冨山 陽介 とみやま ようすけ
1987年東北大学卒業。坂総合病院で初期研修を受ける。研修医時代から現在まで約30年診続けている患者さんと、お互い無事にやりとりできていることが喜び。研修医とざっくばらんに話す機会をと、年に数回、昼食を取りながら雑談するのが楽しみ。リハビリ診療部長を兼務。
PROFILE塙 みなみ はなわ みなみ
2021年岩手医科大学卒。札幌市出身。指導医の先生はくだけた話をする一方、当たり前に医師としての知識も技能も対応能力も持ち合わせて対処される。そのレベルがすごく高いと、最近あらためて実感中。
PROFILE上原 新平 うえはら しんぺい
2021年秋田大学卒。東京都出身。初期研修医の同期7人でおそろいのスクラブを作成。最近、子どもが生まれたときも同期に「生まれた!」と連絡。4週6休に加え有休休暇も取れるので、休日の楽しみは子育て。