1955年2月「無差別・平等の医療の実現」を旗印に、宮城県民主医療機関連合会(宮城民医連)が結成されました。以後、介護や福祉分野にも活動領域を広げ、地域の人々に支えられて、2025年に結成70周年を迎えました。2025年3月現在、宮城民医連は4病院(坂総合、長町、泉、古川民主)の他、診療所、保険薬局、介護施設、ケアステーション、保育所など、あわせて58事業所が所属しています。
全国すべての都道府県に同様の民医連組織があり、全日本民主医療機関連合会は日本最大級の民間医療機関になっています。
今、日本国内では経済的格差の拡大で貧困層が急速に増大しています。さらに地震や異常気象などで突然日常生活や財産など積み上げてきたものを失う災害弱者も増加しています。生活保護の受給者も増え、経済的な問題で必要な医療や介護が受けられない人たちが少なくありません。家族の形態も変化して一人暮らしの割合が夫婦と子どもの家庭を超えて最多となり、シングルマザー・シングルファーザーやステップファミリー、LGBT当事者同士の家族など、今までの法律が適応できず支援が遅れる・届かない事例も増えてきました。
個人的事情だけではなく、災害や事故、社会制度の改悪などでいつどんな弱者になるか分からない、不安定な現代の日本の社会で、誰もが、(家族の有無にかかわらず)一人の人間として、どんな状況でも、お金の心配なく安心して必要な医療や介護が受けられるような社会になることが、弱く傷ついた人たちと医療現場で接している私たちの願いです。
私たちにできる事として、私たちの病院・診療所は無料低額診療に取り組み、入院施設には「差額ベッド」がありません。医師・看護師増員の取り組みや診療報酬・介護報酬改定など医療や介護・福祉制度を改善する運動にも取り組み、様々な団体や個人と連携しながら、国や自治体にも働きかけています。
また、誰もが必要な医療や介護を受けられるためには、世の中が平和であることが大前提です。今、「新しい戦前」(戦争する国づくり)と言われていますが、戦争や災害・貧困・感染症、犯罪や暴力、差別など「脅かされる」ことからくる「命(存在)の危機」、そして命が助かっても「健康的な衣食住が満たされない」という「生活の危機」の中では、個人が自己肯定感を持って社会貢献を目指すことができません。
国連の女性差別撤廃委員会の勧告に示されたように、日本にいるだけで国民の半分以上が女性としての不利益を被り、心身ともに健康と言えないでいることも看過できません。
恒久の平和を念願し(第9条)、基本的人権を尊重し(第13条)、女性を家制度から解放し(第24条)、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(第25条)を謳う日本国憲法の下で暮らしているからこそ、これらの危機は社会制度によって回避されなければならない。東日本大震災で被災し、コロナ禍でも当事者(医療従事者)として経験した私たちにはそのことが良くわかりますが、今の政治は国民の幸福から遠いところに向かっています。
脅かされず、健康的で、満たされた生活を実現するために、あらゆる戦争準備政策に反対し、日本国憲法を今後とも守り生かし、私たちが幸せになる社会制度を構築していきたいと、私たちは考えています。
私たちは微力ですが、地域の人々と力を合わせ、共感して頂ける方々と連帯し協力しながら、地道に活動を継続していきたいと考えています。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
2025年3月