ごあいさつ

ごあいさつ

できるだけ多くの経験を積み、地域医療に貢献できる医師になろう。

研修管理委員長・副院長渡部 潔

当院の研修の特徴は、早く現場に立ち、医師としての責任を感じてもらうところにあります。同じことを経験するにしても、上級医の言うがままに行うのと、自分で説明をし、責任を感じつつ行うのでは大きな違いがあります。ローテート研修が必修となっている今日では、研修がコマ切れになりやすく、研修医が責任を持って診療に当たる機会も少なくなりがちです。当院のローテート研修は45年以上に及ぶ歴史があり、私も含めて指導医の大部分はその研修で育っていますので、責任を持たせる事の重要性を分かっていますし、任せっきりにしない距離感もつかんでいるつもりです。私たちは、研修医にできるだけ多くの経験を積んでもらい、地域医療に貢献できる医師、仲間を作りたいと考えています。私たちと一緒に、地域医療の良さや、時には矛盾も感じつつ、医師としての第一歩を踏み出しませんか。心からお待ちしています。

研修理念

私たち坂総合病院は、無差別・平等の医療と介護・福祉の実現をめざし、日々の営みを通して地域の安心を支える医療機関である。初期臨床研修プログラムでは、以下の3つの力を備えた医師を育てることを理念とする。
 
1.「まず自分で診てみよう」といえる基礎的総合力
医師の専門領域は細分化が進んでいる。しかし、地域の医師数や医療資源は有限であり、実際の診療現場では直ちに専門的な対応まではできないこともある。また、高齢化の進展により多疾患併存の患者が増えている。臨床にたずさわる全ての医師は、相互に機能補完しなければならず、「まず自分で診てみよう」という姿勢が求められる。それを可能にする基礎的な総合力を育成する。
 
2.仕事・暮らしを見つめ社会的不利を含む複雑性・不確実性に向き合う力
臨床現場はジレンマに満ちている。実際の患者が直面している問題は複雑であり、主治医としての臨機応変かつ粘り強い対応が必要となる。それらの問題は、学生時代に学んだ生物学的な理解に基づく疾患概念や診断・治療学の応用だけでは解決できないことも多い。患者が歩んできた過程や現在おかれている社会的不利に向き合い、複雑性・不確実性にもめげない力を育成する。
 
3.みずから挑戦し成長していく力
研修医は、2年間の幅広い経験を通じて、「基礎的総合力」と「ジレンマへの粘り強い対応力」       を高めていく。そのたゆみのない挑戦の中で、自らの意欲と適性を見極め、専門分野の選択を含むキャリアを切り開く力を育成する。
 
 

基本方針 研修医は3つの力をどのようにして身につけるか

1.実践的な「基礎的総合力」を修得するために、厳選したローテート科を比較的長期に組み合わ  せて、主治医としての責任を担って研修する。研修修了時には、一般外来や入院主治医が務まることに加え、日当直や初期救急診療が担当でき、要介護者の生活環境調整や基本的な訪問診療を展開できるようになる。
 
2.患者自身の仕事・暮らしを見つめ「社会的不利」に対応するために、指導医のもとで患者安全を最優先にしながら、試行錯誤により主体的に患者への援助を展開していく。院内外の専門職種や関係機関と密接に連携し、うまくいった点と改善を要する点の両面から学び、医師としての問題解決能力を高めていく。
 
3.自らのキャリアを切り開くために、様々な診療に挑戦しながら、自分自身の考え方や役割を振り返り、将来にむけた成長課題を構築していく。
 
 

初期研修の目標

地域の一般医として(基礎的総合力)
すべての患者に対して、診療場面や患者状況に応じた初期対応を行いつつ、その地域・おかれた状況で利用可能な、医療システムに適切につなげるような幅広い臨床能力をもつこと。
 
担当患者の主治医として(患者の背景と不利への対応)
患者のハンディキャップや社会的困難に寄り添い、粘り強いインフォームド・コンセントを基本に、院内の介護調整や社会資源の活用のための専門職種・部門との密接な連携を行うこと。
 

将来の専門医として(キャリアを自ら切り開く)

上記の2点を基盤として、2年間の研修での現場経験を通じて自分の適性を見極め、将来の専門分野を選択し、キャリアを計画できること。